「地球は女で回ってる」


1997年日本公開のコメディ作品。
本作をウディの90年代ナンバーワンに挙げる人も多いけど、僕としては「ギター弾きの恋」の次かな、って感じ。
それでも「傑作」であることに変わりはなく、いつものように恋とセックスをテーマにしつつも、実験的な映像表現を随所に盛り込んだ斬新な1作となっています。
終始ピンぼけで顔すら判断できなかったロビン・ウイリアムスの役柄が象徴的ですが(よくこんな仕事を引き受けたものです)、「映画」という概念を用いて「映画」という概念を問い直すことに本作のコンセプトがあったようにも思われます。
こうした作品を劇場公開用として制作できるところにウディの強みがあるんでしょうね。
ウディ演じる私小説家が主人公ということで、ウディの自伝的作品だと信じる人もいるみたいだけど、それはどうかなあ?
むしろミア・ファーローとのいざこざをさりげなくネタにしただけのことじゃないのでしょうか。
実際にベルイマンフェリーニなどウディが愛する映像作家からの引用が多い作品で、「Deconstructing Harry」という原題がよくあわらしているように、映画というフレームの脱構築にウディの関心はあったと捉えるべきでしょう。
こういう難易度の高いテーマを娯楽化できるウディはやはり天才だと思います。