オルフェの遺言 


ビデオ版は持っているのですが、さすがに画質の劣化が激しくなってきたので、今回のDVD化はうれしい限り。
しかも定価が1500円とは!
この映画、トリュフォーが「大人は分かってくれない」であげた収益をつぎ込んで製作されたという1本で、コクトーの遺作となった作品でもあります。
映画になってない、などとほざく輩もいるようですが、コクトーはほんらい詩人なのだから当たり前。
詩人のイメージとして、我々はただそれを受け入れるしかないのです。
個人的には動くコクトーの姿が見られるだけでもすごく価値のあることだと思います。
テーマは死と再生、そしてその循環。
コクトーが好むフィルム逆廻しが随所で効果的に用いられ、鮮烈な印象を残すとともに、モノクロで撮られた南仏の景色がただひたすらに美しい。
ラストシーンにもコクトーならではの皮肉が効いていて、ニヤリとさせられます。
20年以上、繰り返し何度も見ている作品ですが、飽きが全くこないのは、ひとえにそのすべてが「詩」であるからでしょう。