カメレオンマン


1983年に公開されたウディ・アレン監督・主演作品。
実はこの作品を観て、ウディびいきになった、僕にとっては重要な一本です。
今回がはじめてのDVD化なのですが、何故発売直後に買わなかったかというと、矢島正明さんによる日本語ナレーションが収録されていなかったから・・・。
内容が「偽のドキュメンタリー」ということで、登場人物のしゃべりに加え、ナレーションやキャプションが多用されているので、字幕だけだとかなり厳しい気がしたのです。
確か劇場公開版にも矢島さんの吹き替えだったはずですし。
と、いろいろ躊躇いもあったものの、やはり思い入れの強い作品なので、思い切って買ってみたところ、完全字幕版もそれほど気にならず、これまでの吹き替え版とは違う映画本来のニュアンスが伝わってきたので、結果的には正解であったように思います。
音声選択で吹き替え版が入っていたら完璧だったけど、まあ権利関係で難しいんでしょうね。
スーザン・ソンタグ、ソール・ベロウなど錚々たる知識人が出演していたり、記録映像からの引用でベーブ・ルーススコット・フィッツジェラルドチャップリンといったアメリカ文化を象徴する人物が多数登場するなど、スノビッシュなウディならではの演出がとことん楽しめる作品となっています。
過去の映像に現在の役者を違和感なくはめこんだり、新規に撮影したフィルムも1930年〜50年代の質感を忠実に再現していたりと、CGの普及していない時代に、よくここまで凝った映像を作れたものです。