グレートメカニックDX 5


某大手ネットショップに登録された時、なぜか価格が350円となっていたので思わず2冊購入(本来の価格は980円)。
で、今回の特集は「ザクという文化」。
カタログ(全バリエーションの紹介に名場面集、様々な商品の紹介等)と各種テキストから構成されているのですが、富野監督のインタビューはいつもの調子で面白く読めたものの、トータルとしては「文化論」というよりも、単なる「現象」の紹介に過ぎないものでした。
むしろ、「ガンダムOO」のメカデザイナー6人のインタビュー記事の方が楽しめたかも。
ガンダム以降、リアルロボットというジャンルが確立されたことで、その中での立ち位置を明確に意識し、考証や理詰めでデザインを考えていく方法論が主流になってきていることを実感できた次第。
すでに架空のロボットも「資源」と「文脈」が重視される成熟期に入っているんですねえ。
マクロスの生みの親で、その分野の先駆者的存在である河森正治監督の「VF-25メサイア」に関するインタビューとあわせて読むと、メカデザインの現状がさらによく理解できるのではないでしょうか。
このように、ロボット関連のムックでは頭一つ抜けてはいるものの、いつもながら批評、研究の一歩手前で止まっているのが惜しいところ。
宇宙戦艦ヤマトが戦前期の少年向け小説にあった「冒険とロマン」を受け継いでいることなんて、改めて言うまでもないことだし、むしろ、それがなぜ1970年代という時代に復活し、人気を博したのか、その要因を考察しない限り、エッセイにもなり得ないと個人的には思うのですが・・・。
商業主義と密接に結びついているから、はっきりとモノが言いにくいのか、アニメやゲームの分野に本格的な批評家が登場しなのが残念でなりません。
・・・ってなことをつらつらと考えてしまいましたとさ。
双葉社刊。