「LAST TRAIN TO EXITOWN」


高橋幸宏鈴木慶一不定期活動ユニットが10年ぶりに再始動。
それでも30年の間に4枚のアルバムをリリースしているのですから、まあ精力的と言えますか(笑)。
1作ごとに印象の大きく変わるビートニクスの「音」ですが、今回もはじめは「ちょっと地味かな?」という印象だったけど、繰り返して聞いているとだんだん深みにはまっていきます。
表面的な感情に訴えかける心地よいリズムやメロディを放棄した、皮肉屋の2人らしい何とも意地悪な仕掛け。
しかも、エレクトロニカダブステップを基調にカントリーやフォークを乗っけてくるから、むしろ流行歌好きには「ダサイ」と捉えられてしまうかも(笑)。
ビートニクスというユニット名の由来はもちろん「ビートニク」・・・、今回のアルバムではまさに言葉の果たす役割が重要になっており、カットアップの手法を用いた文学的修辞が歌詞にちりばめられています。
トラックもまた即興性を重んじるかのような、肩の力の抜けたベテランならではの「軽み」も感じられ、それでいて一つ一つの音の精度にハッとさせられたりもします。
さすがは還暦を迎えた2人・・・、まさに「スルメ」みたいに楽しめる1枚です(笑)。