ブルジョワジーの密かな愉しみ


ルイス・ブニュエル監督の1972年作品。
どうしても食事にありつくことのできないブルジョワの姿を描くブラック・コメディ。
とは言えドタバタ劇ではなく、淡々と物語は進行していきます。
それは夢なのか、はたまた現実なのか。
同じシーンが何度も反復されながら、ブルジョワの仮面の裏にひそむ欲望(食欲と性欲)が暴かれていく・・・、まさに「映画」というメディアならではの快楽が味わえます。
権威や虚飾をとことん剥ぎ取り、人間存在の本性に迫ろうとする長年のテーマを「笑い」として描いていく、皮肉屋のブニュエルらしい1本です。
以下余談。
駄洒落か誹謗中傷でしか笑いのとれない今のお笑い芸人はこれを見て「笑い」の何たるかを勉強してほしいものです。
改めて考えてみると、クレイジーキャッツやドリフはきちんとした根っこを持っていましたねえ。