「ギター弾きの恋」


2001年日本公開作品だけど、アメリカ公開は1999年。
すなわち21世紀になって急速に力の衰えたウディが90年代末に最後の輝きを見せた傑作ということになるわけです(笑)。
基本的にはまんまフェリーニの「道」なのですが、ウディならではの再構成を行い、脚本、演出、音楽もすべてが秀逸。
そのアクのない笑いを不満に思う人も多いかも知れませんが、いつもの調子でやられちゃったら、この深みのある悲喜劇は成立し得なかったのではないでしょうか。
加えてキャスティングも見事。
ショーン・ペンははまり役だし、共演のサマンサ・モートンの魅力的なこと!
ここはオリジナルのジュリエッタ・マシーナの存在感を超えているようにも思えます。
フェイ・チャオによる映像もカルロ・ディ・パルマに匹敵する上品さで、すべてが高い次元でまとまった稀有の1本。
僕の中では「アニー・ホール」や「マンハッタン」、「ハンナとその姉妹」と肩を並べる名作中の名作。
これまた長らくDVDが絶版状態だったので、再発を待ち望んだ1本でした。