鈴木慶一「ヘイト船長回顧録 」


ヘイト船長3部作の締めくくりは「回顧録」。
土の中から発掘されたヘイト船長の音源をラヴ航海士が復元したというコンセプトのアルバムで、まさに鈴木慶一の音楽的軌跡がギュッと濃縮された1枚となっています。
凄まじい破壊力を持つジャケットを見ただけでも、ただならぬ予感を抱かせてくれますな(笑)。
ゲストも遠藤賢司あがた森魚高橋幸宏にボニージャックス、パンタ、そしてムーンライダーズとゆかりのミュージシャンが多数参加。
1970年の時代相を想起させる様々なキーワードも散りばめられ、それらを2011年の視点で捉え直したノスタルジックな仕上がり・・・、メロウでサイケでフォーキーでファンキーでポップな音の洪水に鈴木慶一のクセのあるボーカルがゆったりと重なり、聴き込むほどに味わい深さが増していきます。
ぼーっと聞くだけでは何も伝わらない、聴き手の姿勢と知識とセンスが問われる、3部作のトリを飾るのにふさわしい1枚と言えましょう。
還暦を迎えるミュージシャンが作ったものとは思えない前衛性と新しさ。
ひたすらに感服です。