【模型】

1/20ブラバムBT46 プロトタイプ


ゴードン・マレーの鬼才っぷりが堪能できる「BT46」。三角断面モノコック、ウイングノーズなど空気抵抗の軽減を追求したデザインは確実に時代を先取りしていました。
広く知られるのは1978年の第8戦スウェーデンGPで出走した「ファンカー」ですが、試作段階ではカウルにアルミパネルを並べた表面冷却システム(なんと!ラジエーターもオイルクーラーも装備されてないという!!)を導入するという暴挙も。当然ながらシステムが充分に機能せず(一説には計算ミスでパネルの量が全然足りなかったという話もw)、計画は中止に。
実戦投入されたこともないこのマニアックな1台をキット化したのはフジミ。もちろん先に発売されていた「BT46」があってこそのバリエーション展開ですが、「ファンカー」まではある程度予想できても、まさかこいつまでキットにしてくれるとは思いもしませんでした。
ここまでくると考証がどうのこうのなんて話じたいは野暮でしょう。こんなおバカ車(褒め言葉)がプラモとして発売されることで、F1がかつてはこんなにも実験精神にあふれ、刺激に満ちていたことが少しでも広く伝わればいいんじゃないかと思います。デザイナーとエンジニアが工夫を凝らしたマシンが毎年のように登場していた時代。ドライバーも車に乗るのが面白かったんじゃないかと思うし、我々観客も「次はどんな革新が?」みたいなワクワク感と、革新と引き換えに生じる「繊細さ」にドキドキさせられたもの。懐古厨と呼ばれてもいい。F1だけは昔の方が確実に興奮できましたので。
そもそもたった20名のドライバーが毎年20か所で2時間程度のレースをするだけなんだから「環境」なんて気にする必要ないと思うし、「安全性」とは言えど危険と引き換えに得られる速さでないとつまらないのは当たり前のこと。「モラル」が優先しちゃうと、本当に全てのものがつまらなくなる。まあ社会がそういう方向性になってきているから、F1だけを批判しても無駄ではあるんですがね。