1/20「ロータス72C」


タミヤF1モデル開発者である木谷真人氏が、自社のエブロブランドから満を持して放つ新作F1キット。
車種選択が渋く、1970年にヨッヘン・リントとジョン・マイルズが搭乗したロータス72Cがその第1弾に選ばれています。
独創的なのウェッジ・シェイプ型ボディと特徴的な3段ウイングを持つマシンで、ヨッヘン・リントが第10戦のイタリアGPで事故死しながらも、その年のチャンピオンに輝いた悲しいエピソードを背負っています。
コスワースエンジン部はタミヤからのパーツ供給(もともと木谷さんが設計したもの)ではないか、と当初は噂されていましたが、いざ蓋を開けてみるとオール新規造形で、木谷氏の力の入れようが伺えます。
キットの構成は第二次F1ブーム以前のタミヤ製キットを見ているようで、パーツはバラバラに細分化され、組み立ての難易度は少々高いかと。
ああ、木谷さんがやりたかったF1キットのフォーマットってこういうものだったんだと、改めて納得させられます。
ただ、金型の問題なのか、ややプラの表面が荒れていたり、ランナーの形状がやや歪だったりと、パーツ状態での見栄えはあまり良くありませんね。
パーツの造形そのものも細かくはあるけれど、モールドはややダルい感じがしなくもないような・・・。
ホイール等のメッキパーツも塗膜がやや厚く感じられるので、個人的にはメッキなしで良かったかも。
一方で、タイヤのロゴマークが印刷済みなのはありがたい!
デカールも箱ギリギリサイズの大判シルクスクリーン印刷のものが付属し、ゴールドの色味を含め極めて上質なものに仕上がっています(タバコロゴが付かないのは仕方ないか)。
キットは第7戦イギリスGPか第8戦ドイツGPの選択式で(いずれもヨッヘン・リントの優勝レース)、いかにもイギリス的な雰囲気を持つ72Cだからか、島村英二さんによる箱絵もイギリスっぽい上品さを持っています。
いずれにせよ、「初めてのプラモデル」として見れば、エブロには充分に合格点をあげられのではないでしょうか。
以下余談。
1971年シーズンまで走り続けた寿命の長いマシンだったので、今後はバリエーションも出てくるのでしょうが、願わくば某F社のようないい加減なことはやって欲しくないなあ、と。
エブロさま、どうかよろしくお願いいたしますね(笑)。