小沢さとる『少年台風』


光文社の『少年』で、1962〜63年にかけて連載されていた漫画の復刻版。
小沢の得意な海洋冒険活劇漫画の1つで、風間大助と右手をサイボーグ化した山川三太という2人の少年が、空母「台風」を舞台に、洋上で起こるテロ活動と戦っていくというストーリー。
ある意味破天荒なんだけど、その分夢中になってページをめくりたくなるし、登場するメカの魅力的な描写も今の漫画の中ではほとんど見られないもの。
絵がうまいとか話の構成が巧みとか、そんなことはどうでもよく、キャラとメカに命を吹き込み、生き生きと動かすことに重きが置かれているのだ。
昔の漫画家ってみな優れた「演出家」でもあったんだなあ、としみじみ思う。
そう、絵柄ばかりで受けようとする今の漫画家たちはこういう漫画を読んでもう一度「漫画」とは何かを考えて欲しい。

マンガショップ刊。