しずおかホビーは凄い!


財団法人静岡県文化財団編集のご当地書籍。
地元の郷土史家やライターが静岡名産の「プラモデル」をテーマに、「ホビーのまち静岡 その五〇年」、「箱絵の巨匠たち」といった項目ごとに執筆を担当しています。
その記述は先行する文献の引用、再構成によるものがほとんどで目新しい記述は皆無。
「箱絵の巨匠」の章に至っては、「ボックスアート:プラモデルパッケージと戦後の日本文化」展カタログの内容そのまんまって感じです(笑)。
本書の白眉は、最終章の「ホビーの源流」かな。
古代から近代までの静岡にゆかりのある立体造形物がいくつも紹介されており、(さすがに登呂遺跡から出土したミニチュア土器とプラモデルを比較するのは無謀だとは思いつつも)静岡の風土性を考える上で大変示唆に富む、独自の視点を持ったテキストとなっています。
とまれ、500円という価格も良心的だし、静岡とプラモデルの関係を理解するハンドブックとしては最良の1冊と言えましょう。


創碧社刊