『静岡模型全史』


今年50回の節目の年を迎えた静岡ホビーショー。
その記念出版として、静岡を拠点とする模型メーカー各社のこれまでの歩みを振り返る書籍が刊行されました。
アオシマタミヤ、ハセガワとプラモデル参入時期の順で編集されていますが、この静岡模型教材協同組合3社に加え、バンダイ、フジミ、そして今は亡きイマイにまで言及されているのでとてもバランスよく仕上がっています。
バンダイはともかく、フジミが入っているのがちょっと驚きですが(笑)。
三者でなくメーカーにゆかりのある人々(代表や開発担当者等)が執筆しているので、ともすれば「客観性」には欠けるかもしれないけど、苦労話や裏話が満載で読み物としては文句なく面白い。
さらに、なくてはならない協力会社(マブチモーター)やパッケージを手がけたイラストレーター、水木しげる石坂浩二ら有名モデラーの寄稿を加えた計50名の「証言」が掲載されています。
絶版キットのカラー記事や1960年代に発売されたプラモデルの総カタログ、一大作品展に成長した「モデラーズクラブ合同作品展」の様子など、模型を「文化」として俯瞰的に捉える視点も盛り込まれた、資料的な価値も高い1冊です。
B5版でトータル344頁というボリュームの中に、メーカー50年の歩みと模型ファン50年の夢がぎっしりと詰まっています。 

文藝春秋刊。